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星野智幸の世界
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    この2〜3ヶ月ほど、ずっとこの作家さんの小説を読み漁っていました。震災で一時中断。先週辺りからまた読書再開です。

    この人の世界、大好きです。とっても。どの作品にもどっぷりはまれるのは珍しいです。とりあえず今日までに読んだ5冊の感想を。


    アルカロイド・ラヴァーズ/星野智幸 ★★★★★

    読んでびっくり。誰にも話した事が無く、自分の中でもイメージのかけらしか浮かばず、具体化すら出来ていない、自分が密かに望んでいて、でも実現出来ないと思っている世界を、なんでこの人知ってるんだろう。と思えてしまうような感覚でした。私の願望を具現化するとこうなるんだ、という世界が描かれていて、この人凄い。と感激してます。

    『人間たちよ、この楽園で生きたければ、あらゆるものと恋をせよ』

    この一言が、今のこの世では罪に近いものです。何にも縛られず、ひとつの存在として自分の興味の赴くままに、あやゆるものと恋が出来たらどんなに良いでしょう。その瞬間に、気の赴くままに恋をして、欲を満たす事だけを考え、好きなように好きなものに入り込み、好きなように傷つけ、裏切り、捨てて、また新しく恋をする。同時でも一瞬でも長期でも。自分の好きなように。辛かったら殺し、憎しみで殺されたらまた生まれ変わり、同じ事を繰り返す。そんな事が出来たらどれほど幸せか。それこそ楽園です。この世は失楽園。

    もしかしたら私だけではなく、多くの人が多かれ少なかれこんな願望を持っているのかもしれない、と思いました。この世で生きる仕組みに自分の生き方を合わせているだけで。それは、とても苦しいことです。



    最後の吐息/星野智幸 ★★★★★

    第34回文藝賞受賞作。
    この独特の言葉と表現と世界観が不思議で、とても好きだと感じました。説明には『蜜の雨が降っている、雨は蜜の涙を流してる―ある作家が死んだことを新聞で知った真楠は、恋人にあてて手紙を書く。咲き乱れるブーゲンビリア、ベラクルスの熱風、グァバの匂い、ハチドリの愉悦の声。メキシコを舞台に、鮮烈な色・熱・香・音が甘やかに浮かび上がる恍惚と陶酔の世界。』とありますが、正に色鮮やかな陶酔の世界です。でも、前に書いた朝吹真理子さんとはまた全く異なる世界。この星野さんの世界は、流れるような甘い官能と、それと共にある苦痛がセットになってより深く甘くしびれるような官能になっているような感覚を感じます。心地よい音楽を聴くのと同じ様な感覚。不思議です。


    目覚めよと人魚は歌う/星野智幸 ★★★★☆

    三島由紀夫賞受賞作。『最後の吐息』より現実的な小説です。といっても倒錯する世界。
    説明は『大きな目は少し緑がかって睫毛が長く肌は薄いシナモン色をした日系ペルー人の青年ヒヨヒトは、暴走族との乱闘事件に巻き込まれ伊豆高原の家に逃げ込んだ。そこでは恋人との夢のような想い出に生きる女・糖子が疑似家族を作って暮らしていた。自分の居場所が見つからないふたりが出逢い触れ合った数日間を、サルサのリズムにのせて濃密に鮮やかに艶かしく描く。』というものです。

    「話さないことで、俺の過去が生きてそのまま生きて保存されている気がした。皮だけでなく、肉も血も骨も含めて、あなに受け入れられているんだと思った。」

    青年が恋人との出会いを思い返した時の言葉。今まで、皮だけじゃなくて、肉も血も骨も含めて、男性を受け入れた事あっただろうか、と自分の過去を振り返りました。皮しか見ていなかったなあ、と感じます。自分は皮の中身も愛してほしいと要求しながら、相手の中味を受け入れようとしていたのか。今はじめて、肉も血も骨も含めて受け入れようと、進んでいるのかもしれません。それには、自分自身に苦痛が伴います。


    俺俺/星野智幸 ★★★★★

    第5回大江健三郎賞受賞作。私が「目覚めよと人魚は歌う」を読んでいる最中にこの「俺俺」の大江健三郎賞受賞が発表されました。説明の『孤独と絶望に満ちたこの時代に、人間が信頼し合うとはどういうことか、読む者に問いかける問題作。』に惹かれて早速購入。ちょっとラストが桐野夏生の『東京島』に通じる部分もありますが、こちらは違う角度から奥深く掘り下げた、確かに、人が信頼し合うこと、個々の存在とは、について考えさせられる小説でした。こういうテーマをこういう設定で表現するという事が、この作家さん、繊細で現実的な天才だなあ、と感じます。信じあうこと、について、今何かを思い出しそうになりました。他者と同一化しようとすると破滅するというようなこと。同一化は信頼とは違うということ。だったような。何だっけな。


    水族/星野智幸 ★★★★☆

    挿絵の綺麗な、絵本の様な装丁の本です。これも鮮やかな陶酔の世界。面白い物語です。
    この作家さんは水が好きなんだろうなあ、と感じます。水と一体化するのが好きな人なんじゃないでしょうか。泳いでいると、水になった気がします。人間じゃなくて、地球上の生物のうちの一種類だと実感できる気がするので、私は泳ぐのは好きです。私がそう読みたいからかもしれませんが、この作家さんの作品からは、人間を感じないと言うか、水とか魚とか植物とか、そういうものと一体化しているような感覚を覚えます。だから好きなのかも。人間の驕りが無いように感じられます。


    他の小説も全部読みたいです。でも、その前に先週買ったばかりの村上龍の恋愛小説『心はあなたのもとに』を読みます。わくわく。
    | Book | 20:37 | comments(0) | - | pookmark |
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